こどもビジネススキル

イントロ 外資系企業での1コマ(3/3) 知っているのと知らないの違い

プロジェクトマネジメント研修の後も、他の研修にいくつか参加させてもらえた。今考えると、会社はまだ人に投資する余裕がこの時はあったんだな、と思う。この後、会社が破綻するだなんて誰が想像できただろう。

話が逸れた。

色々な研修に参加してわかってきたことがあった。それはビジネススキルといっても、最初はただの知識であること。習っただけでは普段の業務では役に立たないこと。少ししずつ練習して実践経験を積むことで徐々に身についていくこと。

ん、でも待てよ。

なぜこれらビジネススキルを学校では教えてくれなかったのだろう。学校で教えてくれていたら、かけ算や割り算ができるようになったのと同じに、社会ですぐに活かせたのに。

算数。。。

そうか。ビジネススキルというのは数学で覚えるような公式と一緒なんだ。知っていることでその問題が楽に解けるようになるし、知らないと自分で一から苦労して計算しなければならない。つるかめ算、円の面積の求め方、ピタゴラスの定理などと一緒で、やり方・考え方をあらかじめ知っておくことで、難問に対して攻略法を知りつつ解くことができるんだ。

 

ここでまたある事を思い出した。

妻と電車に乗っている時に、吊り輪に捕まらないで立っているのを不思議に思って聞いてみたことがあった。

「なんで吊り輪に捕まらないの?バランス崩さない?」

妻は答えた。

「私は大丈夫。足の指で地面を掴むように立つようにしてるから、バランスはなかなか崩さないの。誰が触ったかわからない吊り輪を掴むなんて嫌なの。」

なるほど。足の指を掴むようにか。そういえば足の指の使い方なんて誰にも教えてもらったことがないな。同じような例で、テレビで芸人が中学生くらいまで鼻呼吸の仕方を知らずにずっと口呼吸していたと言っていた。当たり前だと思って親が子供に教えないこと、先生が生徒に教えないこと、上司が部下に教えないこと、世の中にはたくさんあるんだな。

ビジネススキルもきっと一緒なんだ。足の指の使い方、鼻呼吸の仕方、算数の公式。それらと同じように、ビジネススキルを知っていれば使ってみることができるし、知らなければ使えない。知っていたからといって全てがうまく解けるかどうかはわからない。しかし、ビジネススキルの知識を持っていた上で、使用するしないを選べたほうがよいのは間違いない。

そうだ。自分に子供ができたら、ビジネススキルについて教えてあげよう。理解できるかどうかはわからないが、きっと役に立つ。難しい状況に直面した時、ちょっとしたひらめきや工夫で問題が解けるようになる。子供の頃から練習すれば、きっと早くから自分のものにすることができる。学校でビジネススキルを教えてくれないのであれば、自分で教えるんだ!!

 

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そう思えるようになった矢先の2008年、会社が破綻する。

その2週間後に子供が生まれ、「父さん、倒産」を身をもって経験。

その3年後、グローバルプレイヤープロジェクトを始動。

その4年後、ビジネススキル研修を小学2年生を対象に開催。

 

外資系企業で体験した

・ 日系企業とのギャップ、グローバル企業で求められているものの違い

・ 自分に足りていないスキルセット、そしてそれらを大人になってから習得する難しさ

・ 気づき、子供達へ自分が伝えたいもの

これらが全ての始まりだった。